靴業界は異業種からの参入、流通の短絡化、小売市場の変革、海外ブランドの進出などによる新たなルートでの取引が増え、卸売業の取扱量は年々減少している。流通経路は紳士靴か婦人服かによって異なるが、紳士靴は定番商品が多く大量生産が可能なことから、大手メーカー主導型となっている。
大手メーカーは直接小売店へ商品を卸すルートが中心であり、専門取扱問屋は少ない。婦人靴は高いファッション性が要求されるとともに流行サイクルも短いため多品種・少量販売が主体で、中小零細メーカーでの製造が多い。そのため問屋の介在する取引が大半で、基本的に靴卸売業は婦人靴の卸売りを行うことで成り立っている。しかし、大手紳士靴メーカーの婦人服進出などでその領域も侵食されつつある。
現在、靴業界だけでなく日本の流通システムは、商品やサービスの価格を軸に大きく様変わりしようとしており、靴卸売業者も販売だけでなく、情報ネットワークを構築し、ニーズをすばやくつかみ、消費者が何を求めているか常にアンテナを張っていなければならない。そうしてつかんだニーズを靴製造業者に提案し、商品化につなげる開発力を併せ持った卸売業へ脱皮を図ることが、業界縮小の波に抗(あらが)い、生き残るためには急務となっている。
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