ワイシャツとは背広の下に着る台襟・カフス付きのシャツのこと。「ホワイトシャツ」から来た和製英語と言われている。またカッターシャツやドレスシャツとも言う。なお、通称「ホンコンシャツ」で知られる半そでのワイシャツは、「
VAN」ブランドのデザイナーだった故石津謙介氏が考案し、
帝人(株)が売り出したものだ。
ワイシャツは比較的長期に着用でき、流行のサイクルも他のアパレル製品に比べて長い。また消費者は実用性から価格を重視する傾向がある。最近の流行としてはソフトスーツの普及により、ソフトタイプのワイシャツが定番で、形状記憶シャツや消臭効果を持ったもの、昨今のリサイクルへの関心の高まりからペットボトルを再利用した素材で作ったものなども人気。
ワイシャツ製造業者は従業員4〜19人の零細企業が大半を占め、企画力や販売力は比較的弱い。一方大手アパレルメーカーは企画から製造まで一手に手がけ、生産と流通をリードしている。現在のワイシャツ市場は大手アパレルや中国製に代表される安価な輸入品とワイシャツ専業メーカーの間で熾烈な競争が繰り広げられ、専業メーカーは劣勢を強いられている。また平成18年3月、
丸紅(株)が中国山東省にシャツ地から完成品までの一貫生産態勢を備えた合弁会社の設立を予定するなど、コストの安い海外に生産をシフトする動きも盛んだ。
まずスーツ、ジャケットの流行の動向があり、ワイシャツは常にそれを後追いしているので、ワイシャツメーカーとしては常に大手アパレルメーカーの動向に注目し、それに追随した商品開発が必要となる。安価な輸入品と棲み分けをするには、繊維業界で続々開発される新素材を使った高付加価値製品や、流行をすばやく察知した製品の開発を常に行っていかなければならない。