健全な経済活動維持への寄与を目的とし、企業の会計監査を通じて助言や指導、相談など適切なアドバイスを行う役割を果たす公認会計士。企業の経営実態を公表する上で、国家資格である公認会計士による監査は、経営の透明化を図り、企業そのものの信頼性を高める意味でも必要とされる業務である。
平成18年1月末現在、日本公認会計士協会には16243名の公認会計士・外国公認会計士、161の監査法人が加入しているが、公認会計士は税理士法に基づく税理業務も同時に行えるため、個人事務所については税理士事務所との兼業が多くを占めている。
時代の流れによって監査業務の高度化、国際化が進む一方で、公認会計士の数は依然不足しており、経済規模に対応しきれていない問題が指摘されている。国内外における企業の大規模な不祥事がここ数年続いている現状を見ても、社内の体質や風土といった自己的な問題だけでなく、外部のチェック体制の不備を問われるケースも少なくない。
同時に企業と監査側の関係見直しも重要な課題だといえる。ニュースでもよく目にする粉飾決算のように、監査側が事件に関与する事例があるのは大きな問題だ。10年、20年といった長さで監査法人を変更していない大手企業が多数あるという現状は、企業と会計士(税理士)、監査法人による癒着へと発展しかねない要素を抱えていることも意味する。
平成16年の法改正によって、会計士が同一企業の外部監査を連続して担当できる期間が原則7年までと定められたことが、古くからの慣例に変化を与える効果へとつながるよう期待したい。本来は不備を正し、企業モラルを改善する立場にある公認会計士。業務に一層の信憑性を持たせるために、自らの健全化維持にも努めてほしいものだ。
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◆◆ 公認会計士法 ◆◆
昭和23年7月制定。監査及び会計の専門家として、独立した立場において財務書類等の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを公認会計士の使命としている。