クラブ、ボール、バッグ、ウェア、シューズ、練習用器具など、ゴルフに関連する用品は多種にわたっており、ブランドや品質の違いなどによって価格帯も非常に幅広い。日本においてもゴルフは古くから庶民の間で広く親しまれているスポーツの1つであるが、道具の他に服装やプレー費など、高いコストを必要とする娯楽でもあり、景気が低迷すると市場はその打撃を直接的に受けやすい弱点を持っている。
社団法人日本ゴルフ場事業協会の調査によると、平成16年現在、全国には2453ヵ所のゴルフ場があるとされており、前年よりわずかに減少している程度だが、同年の年間延べ利用者数は約8530万人と、こちらは年間1億人を超えた平成4年のピーク時から大きく落ち込んでおり、需要と供給のバランスが大きく崩れている現状が数字からもうかがえる。参考までに、平成15年の「ゴルフ・ホッケー用具」年間出荷額は約851億円(前年比2.4%減)で、平成12年をピークに下降線をたどっている。
近年では厳しい経営状況に立たされているゴルフ場が増え、経営破たんのニュースもよく聞かれている。娯楽の多様化や競技人口の高齢化など、ゴルフ市場全体が縮小傾向に向かっている要因はいくつも挙げられるが、一方で中古品売買の分野が大きく成長している点については、使用サイクルの短縮化が期待できるメリットにもつながるため、製造部門にとっても収益を上げる要素として考えることができるだろう。
当面はゴルフ離れの傾向が大きい20〜30代の底辺を増やすことが課題となるが、初心者でも扱いやすい利点が人気を呼んでいるユーティリティークラブ(ウッドとアイアンの両機能を備えたクラブ)のさらなる普及や、アマチュアにおいても来年から適応される高反発クラブ規制に対応した商品など、売上に結びつけられそうな材料を未経験者に向けたPRへとつなげていく努力も必要となる。
娯楽の多様化などで競技人口の減少および高齢化がささやかれる中、小中学生向けを対象にしたスクールの人気が高まりを見せている。若手プロ選手の活躍が要因と考えられ、それを受けたメーカーは、バッグや靴など子ども向けゴルフ用品の製造に力を入れている。また、練習場で使用されるボールに関しても、高価なウレタンカバーを使った製品の開発が行われており、ゴルフ人気の低年齢化は今後も続くと思われ、企業にとってニーズに合わせた商品開発が必要となってくる。
《業界情報サイト》
◆◆ 反発係数 ◆◆
科学的には「物体の、衝突から跳ね返る能力の大きさ」をいうが、ゴルフにおける反発係数とはクラブのフェース(打撃面)から跳ね返るボールの反発スピードを数値化したもの。高い反発係数を持つクラブで打てばボールの速度も上がり、飛距離アップにつながる。
◆◆ 高反発クラブ規制 ◆◆
英国の
R&A(ロイヤル・アンド・エンシェント)が、使用可能なクラブの反発係数を
全米ゴルフ協会(USGA)で定めている係数0.83以下に変更して規格を統一したことで、R&A傘下である日本の各ツアー組織でも2006年以降、高反発クラブの使用が禁止されている。ただしアマチュアについては2007年末まで猶予期間として使用が認められている。