ホテルといえば、客室に会議室や宴会場といったスペースが併設されているのが普通だが、それらの設備を削減して宿泊のサービスに重点を置いた営業形態を持つのがビジネスホテルの特徴である。その名の通り、ビジネスマンの出張など単身での宿泊客を主に受け入れ、なるべく経費を削りたいというユーザーの志向に合わせた料金設定なのが利点であり、現在では有力なホテルチェーンが続々と各地への出店を進めている。
ビジネスでの宿泊が多くを占めることもあり、リピーターのつきやすい業界という考え方もできることから、ホテル側では割引や宿泊プランの提供だけでなくチェックイン後のサービス向上にも努めており、インターネットの無料利用、大浴場・サウナの設置、朝食のサービス、オンライン予約での特典など、常連客を増やすための様々な工夫がなされている。
かつては個人経営の形態がほとんどであったが、最近では低価格を売りにしたホテルチェーンの進出が全国で見られるようになった。今後は価格とサービスの両方においてさらに競争が激しくなるものと思われるが、最近では安全面に対する利用者側の意識も以前より高くなっているだけに、宿泊客の信頼を損なうことのない営業姿勢が何よりも望まれる。
経費削減に伴い各企業や官公庁は、出張者の人数や回数を減らすことで経費節減につなげようとしており、主要顧客であるビジネス客の利用日数は減少している一方、温泉施設の整備や女性専用のフロアを設けドアロックを3重にするなど、競合他社と差別化を図ることで、従来のターゲットに加え、女性やレジャー客などの新たな宿泊ニーズ喚起を行う企業も出てきている。リストラによる支店の統廃合が進み、出張が増えたことで地方での需要も高まっていることもあり、市場は今後活発な動きを見せると予測される。
【業界キーワード】
◆◆ 所有直営方式 ◆◆
自社内でホテルを所有し、運営、経営も自らが行う方式。
◆◆ フランチャイズ方式 ◆◆
本部より商標を与えられ、経営技術の指導を受けた加盟店が自らの責任でホテルを経営する方式。加盟店は本部に対して一定のロイヤリティ等を支払う義務を負う。
◆◆ リース方式 ◆◆
ホテルを所有者から賃貸契約によって借り受ける形で運営管理する方式。
◆◆ 管理運営受託方式 ◆◆
運営会社がホテル所有者に対し、必要な人員を派遣して運営管理を引き受ける方式。収益は所有者のものとなるが、運営会社は所有者から業務委託料や人件費を受け取ることができる。