正確には営業写真店という名称だが、カメラやDPEの取扱いと兼業で行っている店舗も多いことから、最近ではスタジオと呼んでいるところが多い。業界団体である「日本写真館協会」の会員数は約4300軒だが、独立経営のスタジオなども含めれば全国でおよそ2万ヵ所はあるのではないかと推測されている。
まだ家庭用の写真機が無かった時代、写真は「お店で撮ってもらうもの」という認識が一般であり、機会があるごとに当時の写真館と呼ばれていた場所へ出向くのが普通であった。それがカメラの普及、進歩によって家庭でも手軽に撮影できる手段が整ったのは、この業界にとって痛手のはじまりだった。
出生率の低下によって七五三や入学、卒業といった行事での需要が減り、さらにデジタルカメラなど撮影機器の技術向上によって「自分の手で撮る」という行動が増え、ブライダル関係などでも異業種が写真撮影のサービスに参入してきていることで、市場の飽和状態へ向かった動きにもより拍車が掛かっている。
また身近なところでは、免許証やパスポートといった証明写真も、安価で短時間の現像というメリットもあって街角に設置されているセルフの撮影ボックスへと需要が流れており、スタジオに出向く必要性がますます薄れてきている現状も大きな問題となっている。
とはいえ写真も芸術であり、プロの技術をもってしか撮れない写真というのも存在する。その特性を集客に結びつける努力の次第によっては、市場回復につながる可能性もあるだろう。例えば京都では一般の観光客に舞妓の衣装を着せて写真を撮る「変身スタジオ」というものがあるように、顧客のニーズを呼べる企画性を持ったものを写真撮影の技術に生かす手段を考えることも、新しい方向性の1つとして挙げられるのではないか。
《業界情報サイト》
◆◆ プルーフシステム ◆◆
プルーフとは下見写真を意味し、様々な角度やポーズで何点かの写真を撮り、気に入ったものを顧客に選んでもらってプリントするシステムをいう。価格設定は高くなるが、顧客の満足度もアップするため売上につながりやすいシステムとされている。
◆◆ ラボ ◆◆
フィルム、プリントの現像処理をする業者。プロラボとアマチュアラボの区別があり、プロラボはスタジオに対して光源などのアドバイスを行うこともある。また、ラボに出さず自分の手で現像処理を行うスタジオも多い。