非鉄金属鋳物製造業は素形材産業の一種で、銅合金鋳物・ダイカストを除いた軽合金鋳物・ダイカスト業に分類され、需要分野は多岐にわたる。典型的な受注下請産業であるため、需要分野の好不況に業績が大きく左右される。基本的に多品種少量生産が行われ、一部の大手を除き、中小・零細メーカーが多い。経済産業省の「平成16年 工業統計表」によると、4人以上の従業員を有する事業所数は1346ヵ所、従業員数は3万5731人となっている。
財団法人素形材センターの発表した統計から非鉄金属鋳物の需要動向を見てみると、平成16年の銅・銅合金鋳物生産量は10万5480トン(対前年比104.8%)で、そのうちバルブや軸受など輸送機械用が対前年比108.7%と数字を伸ばし、一般機械用も同103.4%と堅調である。
軽合金鋳物のうちアルミニウム鋳物は39万3118トン(同100.9%)であり、電気機械用(同129.2%)や一般機械用(同105%)は好調だが、主力の自動車用が鈍い伸び(同100.4%)だった。また日本ダイカスト協会の統計によると、平成17年のダイカスト生産量は106万4764トン(同108.2%)と初めて100万トンを突破。自動車用も84万6225トン(同110%)と生産を伸ばしている。
順調に成長が続いている反面、非鉄全般において供給減による原料資源の高騰が不安視されている。海外の鉱山においては作業中の事故やストライキといったトラブルが続いており、銅やニッケル、鉛などの採掘に大きな影響が出ているというもので、世界的に需要が伸びていることもあって在庫量の低水準が長引くという予測も出ており、今回の騰勢はしばらく継続するものという見方が強いようだ。
ダイカストを中心に非鉄金属鋳物の需要は高まっているが、主要需要先の自動車・産業機械メーカーが海外生産へシフトする傾向にある。また中国などアジア諸国の鋳造技術も向上してきており、汎用品に関しては海外調達の意向が強くなっている。そのため、高い技術力を生かした高付加価値製品の開発や小ロット短納期生産への態勢作りが急務となっている。
《業界情報サイト》
◆◆ 銅合金鋳物 ◆◆
耐食性・耐磨耗性に優れ、軸受・バルブなどの機械構造部品やポンプなどの水力機械、プロペラなどの船舶用部品などに用いられる。
◆◆ 軽合金鋳物 ◆◆
アルミニウム合金鋳物とマグネシウム合金鋳物がある。シリンダヘッドなどの自動車部品の需要が大半を占め、他に計器ケースやカメラボディーなどに用いられる。
◆◆ ダイカスト ◆◆
精密かつ大量生産を可能とするダイカスト法によって製造される鋳物。アルミニウムダイカストが生産の大半を占める。アルミニウム合金鋳物と同じく自動車のシリンダヘッドやトランスミッションケースなどに用いられる。アルミニウム合金鋳物のうち生産数量が多く、精度を要する製品をアルミニウムダイカストで製造する。