印刷業には出版印刷・商業印刷・事務用印刷・包装印刷・特殊印刷などがある。発注者からの注文を受けてから仕事が始まり、注文どおりに仕上げていく受注型産業である。

経済産業省の「平成16年工業統計表」によると、事業所数は1万7954ヵ所。従業員20人未満の事業所が9割近くを占め、中小・零細メーカーの多い産業となっている。出版社・官公庁など受注先が大都市に集中する典型的な都市型産業で、地域別では東京都が出荷額の3割近くを占める。
市場規模は製造品出荷ベースで7兆0364億円(平成16年)。回復基調の景気を背景に、商業印刷が堅調。家電品のカタログやチラシ、取扱説明書などの印刷量が伸びている。また近年は印刷技術の進歩により、2次元の媒体に限らず、車体など3次元の曲面に直接印刷する技術も多数開発されており、印刷がカバーする範囲は極めて広くなっている。
マルチメディアの登場により、従来の紙に情報を載せるという役割が電子メディアに置き換わろうとしている。紙印刷物は根強い需要があり、急速に後退するとは考えづらいが、将来的には電子媒体への移行が進むと思われる。ITの発達により、手作業の職人仕事といった印象の強かった印刷業も、汎用コンピュータを使用したデジタル技術が一般的になってきており、コンピュータ業界など他業種から印刷業に参入するケースが増えている。技術革新は日々進んでおり、企業間格差も進む傾向にある。今後は大手を中心とした最新のデジタル技術を持つ企業は情報サービス産業に向かい、中小メーカーは紙を素材にする従来型の印刷を受け持つなど二極化が進んでいくと予想される。